『THE BIG ISSUE』から見る社会的企業経営の仕組み

2010/7/15 Thursday
アカウント マネージャー 福地 美寿穂
『THE BIG ISSUE』という雑誌をご存じだろうか。「有限会社ビッグイシュー」が月2回発行している雑誌で、店頭販売は一切行っておらず、街頭販売のみというユニークな販売方法をとっている。そしてその販売員、実はホームレスである。1991年、ホームレスの自立を支援する目的でロンドンで始まり、日本では2003年5月に大阪で『ビッグイシュー日本版』を創刊、現在では北海道から九州まで、全国14の都道府県で4万部を販売するまでとなった。1冊300円の販売価格のうち、160円が販売員の収入となるしくみだ。

この「THE BIG ISSUE」や「THE BODY SHOP」など、社会的な目標を掲げ、利益の大部分を株主や事業主へのリターンではなく社会的目的のために費やしている企業を「ソーシャルエンタープライズ」と呼ぶ。他にもフェアトレードを啓蒙している「スターバックス」や、先日グラミン銀行と提携を発表した「ユニクロ」ブランドを展開するファーストリテイリング社(毎日新聞掲載記事参照)など、ソーシャルビジネスに重点を置き実行している企業が増えている。

7月13日付の読売新聞 に掲載された有限会社ビッグイシュー代表・佐野章二氏のコメントによると、「累積赤字は数千万残っている」そうだが、それでも設立当初「100%失敗する」と言われていた事業がここまで成長した理由はどこにあるのか。それは、この事業が「慈善活動」ではなく、ビジネスとして成り立っているからだと思う。

つまり、「慈善活動」は利益を出せないため存続が難しいのに比べ、ソーシャルエンタープライズは社会へも企業へも利益をもたらすビジネスモデルを展開している。さらにこれら企業の製品を購入することによって、消費者も社会貢献の一端を担うことができる。まさにwin-win-winの関係ではないか。

日本にはチャリティが少ない、とよく言われてきたが、このようなビジネスモデルの登場は大変喜ばしいことである。今後ソーシャルエンタープライズがもっと増え、定着していってくれることを願う。

なお、15日は『ビッグイシュー日本版』の発売日。ぜひ買ってみてください!